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頼朝後の成田氏、奈良氏らの行方は?Ⅵ

 いつもこのブログをご覧いただき、誠に有難うございます。

2月でありながら5月並みの暑さになったかと思ったら、すぐ後には雪が降って

います。地球温暖化というのは、単に気温が上昇する、という意味じゃあなくて、

気候自体が穏やかではなくなり、激変し続ける天候になるという意味のようです。

 

 前回までは、吾妻鏡の三年間の欠落から、頼朝の死が、都に戻るか、鎌倉に

留まるのかをめぐる、北条氏を中心とする鎌倉御家人達との対立によって、

もたらされたのだ、という自説を、愚管抄等の記述から、展開させて頂きました。

で、再開された吾妻鏡は、建久十年(1199年)から、掲示の源頼家の時代として

何事も無かったかのように、頼朝の死後から、記述は始まっています。更にその

初文は、その当時の天皇・公卿達の紹介から始まっているのです。誰が見ても

おかしいと思うハズですよ。頼家だって、父親が近親者に、毒を盛られたことは、

多分感づいていたと思いますよ。それをなだめたのは、母親の政子でしょうね。

でもまあ私は、毒を盛ったのは、その政子本人だろう、と思っていますけどね。

ですから頼家が精神的に鬱屈していたのは、充分に理由のあることだったのです。

 

 さて、建久十年(1199年)の記述からです。この年の初めに、征夷大将軍源頼家は、従二位左中将に昇進しています。

しかし4月1日の記述でまず、幕府の問注所(裁判所)を、御所(頼家の居所)の外に移した、とありますが、これだけでは

何のことか判りません。ところが次に、4月12日の記述で、頼家の直接の訴訟決裁を停止し、13人の御家人の合議により決裁

する(鎌倉殿の13人)という、将軍頼家の権限縮小・排除が決定されています。しかし訴訟決裁権こそが、将軍の権威の源泉

ですからねえ、これを頼家は取り上げられてしまった訳です。頼朝の死とは、実は御家人達によるクーデターであったことが、

良く判ります。この時点で頼家は、お飾りとしての将軍を演じなければならなくなった訳です。父親のように、本当の将軍で

あろうとすれば、殺されるだけだろうことは、明らかだったのです。しかし頼家は、これに反抗します。4月20日の記述で、

梶原景時の差配で、頼家の近習5人以外は、将軍頼家への拝謁を認めない、という文書を、政所に掲示させたのです。この時点

で、13人の一人である梶原景時は、頼家派(もしくは朝廷派)であったことが判ります。しかしまあ頼家がムクレた、程度の

反乱ですがね。頼家が成長するにつれ、この対立は大きくなり、最終的には頼家殺害に至ります。従って、5月、6月、7月の

記述も、姫君(乙姫)の病気と死去の記事ばかりが続き、将軍頼家は、ほとんど登場していません。北条氏側のクーデターは

成功し、鎌倉殿は完全にお飾りとなり、排除されて行ったことが良く判ります。その代わりの、母親政子はよく登場しますがね。

吾妻鏡は、頼家の未熟な面ばかりを、わざと素知らぬ顔で描き、将軍頼家が行おうとした命令や事績については一切記述しなく

なります。でもわざとらしく、御家人安達景盛の妾を、頼家が奪った話しなどは、記事に出て来ますけどね。(父親似?)

 

 そして10月26日の記述から、唯一の頼家派だった可能性のある、梶原景時の弾劾運動の記述が始まります。鎌倉御家人達の

総意であるとして、裏で糸を引く御家人筆頭の北条氏については、何故か一切触れていません。更にこの年の記述は、景時の

鎌倉追放決定で終えています。しかし将軍頼家の意向については、何も書かれていないのです。(決定に関われなかったか?)

つまりこの段階の鎌倉では、御家人の間で、最高権力者である将軍(鎌倉殿)は、既に必要がなくなっていた、ということが

良く判るのですね。後に残るは、実力派御家人間同士の権力抗争があるだけ、になりますわねえ、、、。

 

 そして翌年、正治二年(1200年)正月の記述は、元旦から延々と椀飯振舞い(大宴会)が毎日続いています。頼家を手なずけ

ようとする、御家人達の魂胆だと思われます。で、1月13日には、頼朝の一周忌法要の様子が書かれています。参列した御家人達の

呼称は、いつの間にか「大名」になっています。もはや御家人ではないようですね。

お飾り頼家が毎日の宴会や狩猟に興じている間に、1月20日の記述では、鎌倉を追放された梶原景時の一族が、駿河国で鎌倉追討軍

によって殺害され、景時一族の追討の記述は、1月中一杯続いています。逆に言うと、北条氏ら御家人にとって梶原氏(朝廷派?)

は、それほど恐ろしい存在だったのだと言えます。だから鎌倉御家人一同一致結束して、梶原氏一族を追い詰めているのです。

でもこのこと、将軍である頼家は、知っていたのでしょうかね? 何も知らされていないのかなあ、、?(次回へ)