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ネットの他サイトでの、奈良姓についての解説は? Ⅱ

 いつもこのブログをご覧いただき、誠にありがとうございます。各Webサイトでは、

奈良姓について、どのように表示されているのかを、私見を交えてご紹介させて頂いて

おります。が、今回のテーマは長くなりそうなので、枕の部分を割愛させて頂きます。

※今回は、名字由来netさんで奈良姓を検索してみます。(あくまで個人の感想です。)

 

 名字由来netさんは、2011年9月に、ネットで初めての名字検索サイトとしてスタート

しました。名字検索業界のパイオニアですわね。運営は、ルーツ制作委員会(株式会社

リクスタ)となっています。今や、名字業界の代表企業に成長していらっしゃいます。

で早速、奈良姓で検索してみます。すると画面中央部分に、奈良姓の全国順位と、全国

人数が表示されます。その下には、都道府県別・市区町村別ランキング、有名人一覧、

占いなど、へのリンクボタンが並んでいます。それらの一番下には、先祖供養へのリンクボタンも設置されていて、会員登録へ誘導するような作りになっています。まあビジネスですから当然です。その後広告が入り、奈良姓の名字の由来解説になります。由来説明は、

奈良忌寸から始まり、6説が箇条書きされています。しかしこれらの説明、元立命館大学教授

太田亮氏の「姓氏家系大辞典」1934年当時の説明、ほぼそのまま!じゃあないでしょうかね?

「姓氏家系大辞典」の特徴は、古い文献史料に記載のある人物に、各姓の家系のルーツを求める

というスタイルです。まあ当時は、都道府県別分布マップも無かったので、地域別濃淡からの

考察の方は、無かったようですが。しかし、特に東国武士団系の氏姓とは、平安末期の武士団の

勃興期に、自分達の領地の権利を主張するために、土地の名前を名乗ったことが氏姓の由来ですから、

この考え方がないと、単に歴史文献に名前がある、だけでは、説得力の弱い説明になってしまう

のです。で、今回の写真は、「姓氏家系大辞典」(国立国会図書館デジタルコレクション)の、

奈良姓の記述部分です。※五十音順表示なので、昔の書籍にしては、調べやすいですね。

具体的に奈良姓の由来解説では、奈良忌知から始まり、奈良忌寸、奈良真人、無戸の奈良氏?、

藤原南家、と来てようやく、成田氏一族の中の奈良姓が登場して来ています。まあ良く成田氏系図

の中から、奈良姓の祖?を見つけて来たものだと関心はしますが、多分、成田氏の家系を調査する

過程で、たまたま副次的に奈良氏の名前も、一緒に発見したから、なのでしょうね。

以降は、保元物語、吾妻鏡の文中に出現する奈良氏の紹介などが続きます。更には、江戸期編纂の

「新編武蔵風土記稿」に記載されている初代奈良氏の墓に関する逸話や、鹿角四頭の奈良氏について

も、記載しています。各種文献を、非常に丹念に、良く調べられた由来の説明だなと、感じました。

その意味で太田氏の解釈としては、これら文献例示された氏族家系の中のどれかが、読者である

あなたの家系ルーツなのではないか?、という説明なのでしょうね。でも、これら個々の事例を

繋げたり、関連ヒストリーを描くところまでには、残念ながら至っていないようです。

 

 で、名字由来netさんの由来紹介では、藤原北家からの成田氏流?という解説が、かろうじて

出て来るのみなのです。しかし残念ながら、武士団の氏族名由来、という解釈は無いのですね。

まあもっとも、奈良姓なんて、順位の低い少数派の姓ですから、仕方がない側面もあるのですが、

それにしても、約80年前の太田氏の記載そのままは無いだろう!、と思ってしまう訳なんです。

いやむしろ、80年前の太田氏の調査結果より、記述が後退しているのですね。奈良姓の由来・

歴史を調査して来た人間としては、この由来説明、ちょっと残念に思ってしまいます。

 

 で画面その下には、このサイトの代名詞になった、奈良姓の全国分布マップと、多い地域

ランクのベスト5が、人口別と比率別で記載されています。この部分は私も、数多く活用させて

頂いております。やはり自分の姓を調査する上で、分布表示は、非常に便利な機能なんです。

私も大変お世話になりました。現在多くの人々が、自分の先祖の由来や歴史に関心を持っている

中で、戸籍簿調査だけじゃないWeb検索と分布マップ、というやり方で、名字調査の可能性を

広げたことは、名字由来netさんの、大きな功績だろうと思います。その意味で、同姓の人数と、

分布マップを、名字Web検索と合体させるやり方は、従来の家系図作成業界では考えられない

画期的アイデアだったのです。この方法は、立命館大学文学部によるGIS研究が元になっています。

現在は「名字マップ」としてWebサイトが残っていますが、名字別人数を都道府県マップとして

描出するソフトの開発研究として、2011年に論文公開されています。(現在でも閲覧は可能です。)

で、名字由来netさんは、この年にスタートしていらっしゃいますので、もしかすると同じ研究メンバー

(ルーツ制作委員会?)によるスタートアップなのかも?と、思ってしまいますね。

 

 また、名字由来netさんの収益方法としては、左右上下画面に細かく表示される多数のWeb広告の他には、

家系図作成の有料会員制度があるようです。でも無料会員でも、デジタル家系図などは作成可能みたい

ですがね。この点では、名字由来netさんもやはり、家系図作成業界の一員なのだな?、と思いました。

名字・家系関連の書籍なども販売されています。まあ収集された名字・家系情報の販売の一環なのでしょう。

しかし収益の柱になっているのは多分、マスコミ・企業に対する、名字データの提供業務だと思われますよ。

まあこれらの業務で、それなりに収益を上げていらっしゃるなら、それはそれで、よろしいのですがね。

 ただ、我々ユーザー側からすると、やはり少し物足りないように思われるのです。名字の由来情報の方が、

物足りないのです。つまり太田亮氏の「姓氏家系大辞典」1934年当時の由来情報だけでは、現代の読者層

には、不十分なのですよ。古い情報が悪い訳ではありません。しかしどの姓についても「姓氏家系大辞典」

以降の新しい名字情報も、Web上などでは数多く集積されているハズなのですよ。特に、名字由来netさんの

最大の特徴である、名字の地域分布情報と由来情報が、あまり連携していない点は、非常に残念に思われます。

これらの情報も、新たに追加されてしかるべき、と思われるのですが、名字由来netさん、いかがでしょうかね?

(次回へ)