白内障について、Ⅷ

 眼底カメラレンタルの眼底メディカルです。いつもこのブログをご覧頂き、誠に有難う

ございます。 本日は良い天気で、少し暖かいような気がしますね。

 

前回は、白内障手術の最中に起る可能性のある術中トラブルの例として、破嚢(ラプチャ-)

と、硝子体脱出について、簡単にご説明させて頂きました。手術時間も長くなり、患者さん

としては、クレームのひとつも出したくなる所かも知れませんが、100%安全な手術はありま

せんので、ここはぐっと我慢して頂ければと、思います。だって、破嚢した原因が、患者さん 

の側にある場合(急に眼が動いた!等)だって、あるのですからね。きちんと対処をすれば、

眼内レンズの移植も可能な訳なのです。ですから、万一術中トラブルが発生しても、術中に

パニックだけは起こさないようにして頂ければと、思います。(先生も、なんですけど、、。)

 

前回の例の他にも、様々な術中トラブルの可能性はあるのですが、発生確率的には低いものです。

ただもうひとつ、破嚢以外にも、挙げておくべきトラブル対処として、チン小帯脆弱、断裂などの

患者さんに対する白内障手術対処のことも、お伝えしておく必要が、あると思われます。

水晶体は、水晶体嚢(カプセル)と呼ばれる袋の中に入っていて、この袋が、チン小帯という線維

で繋がって、ぶら下がっているというイメージです。で、白内障手術は、水晶体嚢(カプセル)を

温存しながら、上部に開けた丸い穴から、超音波チップを挿入して、濁った水晶体を破砕・吸引し、

空になった水晶体嚢(カプセル)の中に眼内レンズを移植固定する、というイメージになります。

ですから、水晶体嚢(カプセル)袋を吊るしているチン小帯が、弱かったり切れたりしていますと、

袋内の操作である白内障手術が出来なかったり、眼内レンズが入れられなくなったりするのですわ。

この状況は、術前の検査で判る場合もあるのですが、術中に判明する場合もあります。この術中に

判った場合が、術中トラブルになる訳なのです。

昔でしたら、手術を続行して、水晶体落下など更なる合併症を発生させる場合もあるため、手術中止

になることもありましたが、現在では、写真のような新しい器具も出来て、手術を続行することが

出来るようになりました。と申しましても、ただの「輪っか」みたいですよねえ? 牛の鼻輪か?

この器具の名称は、カプセル・テンション・リング(CTR)と言います。実は、このリングを

水晶体嚢内に挿入することにより、後嚢が安定し、手術が可能になります。(まあ、理屈は良く

判らなくとも、このような器具があると言うことだけは、知っておいて頂きたいと思います。)

数年前に、HOYAさんから、ようやく発売になりました。プラスチック製で、ぱっと見、たいした

器具には見えないのですが、無いと怖くて手術が出来ないため、昔はドイツやフランスの海外製品を

密輸するしかありませんでした。ですから、手術出来ない、と言われた患者さんだっていたのですよ。

当然のことながら、CTR適用になれば、手術時間は当然長くなります。でもクレームを言おうかと

思う前に考えて欲しいのです。手術が失敗するかも知れない眼を、CTRが救ってくれたのだと、、。

なお、チン小帯脆弱や断裂症例に対する同様の器具は、HOYAさんのCTRの他に、はんだやさんの

カプセルエキスパンダ-という器具もありますが、こちらは埋め込み器具ではなく、術中一時的に

水晶体嚢(カプセル)を糸で引っ張り上げて、白内障手術を続行するための器具になります。

いずれにせよ、少し専門的になりましたが、白内障手術と言えども、本当は色々、トラブルの類も

あるのですよねえ。(次回へ)