白内障について、Ⅶ

 眼底カメラレンタルの眼底メディカルです。いつもこのブログをご覧頂き、誠に

有難うございます。本日は雨降りですが、雪には変わりませんでしたね。

 

さて、加齢により誰もが受ける手術になった白内障手術で、様々な手術後のクレームや訴えについて見て参りましたが、白内障手術で、実はあまりお伝えしていない

部分がありまして、何かと申しますと、術中トラブルについてなんですわ。

まあ術者の領域なんですが、100%安全な手術なんて、あり得ないのですからね。

大昔、全身麻酔で白内障手術も行われていた頃には、本人は知る由も無かったのですが、

現在は、局部麻酔や点眼麻酔での手術ですので、術中はっきり意識もある訳なのですよ。

ですから、術中トラブルが発生しても、全部聞こえてしまう訳なんですね。それで

患者さんは、逆に不安感を強めてしまい、脈拍や血圧が上がってしまうことになる

のです。それは更なるトラブルへの引き金になる可能性もあるのです。ですから術中

トラブルについても、知らしむべからずではなく、ある程度知っておき、ある種覚悟を

持って頂くことで、患者さん側でも、突然の不安に陥ることが、少なくなると思われる

のです。

それで先生方は、あまりお話ししたくないかも?知れませんが、今回は術中トラブルの

内容について、どういう事態が起こりうるのかを、少しお伝えしてみたいと思います。

 

で今回の写真は、Aビットカッターと呼ばれる器具なんですが、術中トラブルの際に

使用される器具のひとつです。硝子体カッターとも呼ばれるこの器具は、80年代後半に、

米国の硝子体手術医スティーブ・チャールズと、技術者のカール・ウォンによって開発

されました。この硝子体カッターの出現により、それまで手術では、触れることが出来な

かった硝子体・網膜の内眼領域が、ようやく手術すること可能になったのでありました。

で、この器具と、白内障の術中トラブルが、どのように関係しているのか?、と申しますと、

比較的よくある術中トラブルに「破嚢」があるのですが、水晶体を包んでいる袋(カプセル)

が、部分的に破れてしまうトラブルです。ラプチャ-とも言います。よくあるのは、超音波

ハンドピースで、水晶体を破砕吸引している最中に、水晶体の袋(水晶体嚢)も破れてしまう、

というのが、比較的よくある事例なのです。破嚢しますと、水晶体の袋の中に眼内レンズを

移植することが出来なくなりますので、固定位置をずらすなどして、眼内レンズを移植します。

ですから仮に、「ラプチャ-」という言葉を術中に聞いたとしても、眼内レンズが入れられなく

なる訳ではないので、パニックを起こす必要はありませんが、手術時間が若干長くなるだろう

とは、思った方が良いでしょうね。

 

で更に、破れ目から、水晶体の奥にある、硝子体と呼ばれる卵の白身みたいなどろどろした

透明の物質が、水晶体があった場所にまで、湧き出して来ることがあります。

これを硝子体脱出と言います。この硝子体脱出の際に使用されるのが、写真のAビットカッター

なのです。「Aビット出して。」と、先生がスタッフに言いますので、患者さんにも判ると

思いますね。Aビットカッターで、湧き出て来た硝子体を、きれいに取り除かなければ

ならないからなのです。またどうしてカッターと言うのか?、と申しますと、硝子体は、

透明な卵の白身みたいな性質なので、吸引だけでは吸い取れないんですね。それで昔の手術

では、前側に出て来た硝子体を、眼科用のハサミで少しづつ切り取りながら除去していました。

それがAビットでは、先端部のカッター部分が、高速で前後に動いて、硝子体を細かく

切り刻みながら、少しづつ吸引して行くので、Aビットカッターと呼ばれる訳なのです。

まあそれでも、あまり心配しないで下さい。湧き出て来た硝子体をきれいに取り除ければ、

眼内レンズを毛様溝に移植固定することも出来ますし、眼内レンズを縫い付けて移植する

ことだって出来るのです。ですから、万一術中にトラブルが発生したとしても、パニックに

陥らず、冷静に対処を待つことが重要なのです。(次回へ)