視覚障害者向けIoT機器Ⅲ

 眼底カメラレンタルの眼底メディカルです。いつもこのブログをご訪問頂き、誠に有難うございます。

 

以前のブログで、視覚障害者向けの、メガネ型文字読み上げ装置(3枚目写真)の紹介を受けて、色々調べた

結果を、ご紹介させて頂いた訳なのですが、意外と好評だったものですから、その技術的な背景についても、

もう少し書かせて頂ければと、思いますです。元になっている基本技術って、大事なんですよお。

 

で、前回のブログでは、以前ご紹介した、ロービジョン者向けの、ハイテク・ウェアラブルIoT端末への始まりが、

1980年代後半に出現した「拡大読書器」(1枚目写真)ではないか?、というお話しをさせて頂きました。

拡大読書器は、それまでの拡大鏡(ルーペ)に代わる用具でした。その製品の背景にあった技術革新は、小型の

CCDカメラの、民生分野への普及でした。TV局で使用されるような巨大撮像管カメラが、片手で持てる小型CCD

カメラへと、移行する時期でもありました。当時、SONYの家庭用ビデオカメラ「ハンディカム」が、全国の小さい

子供のいる家庭に、爆発的に普及しまして、それまでの家庭用8mmフィルム撮影機「フジカシングル8」を、完全に

駆逐してしまったのでありました。その理由は、録画テープは、フィルムと違って現像する必要がなく、撮った

その場でテレビにつないで、かわいい子供たちのカラー動画を、簡単に観ることが出来たからなのでした。

お金持ちの友達の家の、暗い部屋に集まってのフィルム上映会は、いつしか無くなりましたね。

これによって、CCDカメラ(撮像素子)のコストは劇的に低下し、ようやく、福祉用機器などにも活用することが

可能になったのでした。コストが下がらないと、福祉用機器などには流用出来ないんですよ。この点を勘違いされて

いる機器開発者の方々が、多くいらっしゃると思います。病院で使用する、医療機器とは、少し状況が違うんです。

 

でも、当時の拡大読書器は、高額でしたけどね。20万円弱もしました。(現在も、この価格です!)30年前の金額

としては、発売当初は、給付補助もなく、なかなか購入は大変であったろうと思われます。

まあ、福祉用具は、販売数量も限られていますので、一般民生品のようには、安くは出来ないんですね。企業の方も、

ボランティアじゃあないので、、、。

でも、技術開発コストの方は、安くなっていないと、福祉用具は、やはりダメなんです。このあたり、ジレンマです。

と言う訳で、CCDカメラのコストが下がったおかげで、拡大読書器は、視覚障害者に、広く普及することになったの

でありました。「拡大読書器」という名称から、読書や文字を読むための専用機器だと、思われるかも知れませんが、

実際の視覚障害者の方々にとっては、少し違いまして、元々はルーペの代わりなんですよね。それも、両手が使える

ルーペ。最近CMによく登場する、「ハズキルーペ」みたいな感じで、拡大読書器を使用されているようですよ。

 

当時の拡大読書器の発売メーカーであったナイツさんは、元々眼科機器メーカーで、以前のブログでご紹介しました、

直像鏡(眼底カメラ以前の眼底を診る道具)や倒像鏡のメーカーとして有名で、我々眼科医療器械屋仲間でもあったの

でした。ナイツさんは、視能訓練士(ORT)さん向けの検査機器も多数作っておりましたので、多分その方面からの

ご要望により、拡大読書器を作られたのだと、思われました。ただ、福祉機器については、我々病院向け医療機器とも、

少し分野・市場が違っておりましたので、同業者仲間とは言え、拡大読書器は、横で眺めているような状況でしたね。

 

で、この拡大読書器、現在も視覚障害者の方々に、広く使用されている現役機器なのですが、拡大読書器から、いきなり

現在のメガネ型文字読み上げ装置になった訳ではありません。もうひとつ、次の発展につながる装置・技術がありました。

それが2枚目写真の「読み上げ読書器」なのです。(次回へ)