医療器械屋から見る、眼底検診普及の歴史Ⅱ

 眼底カメラレンタルの眼底メディカルです。まもなく8月も終わりになりますが、お忙しい中、

いつもこのようなブログをご覧頂き、誠に恐縮であります。

  

前回のブログで、1970年代の循環器検診等の現場では、直像鏡(1枚目写真)という眼底観察器具が

使われていたが、色々と欠点もあり、70年代末には、世界初の無散瞳眼底カメラ(2枚目写真)が、

キヤノンさんより新発売された、というようなお話しをさせて頂きました。

 

新開発の無散瞳眼底カメラは、直像鏡が持っていた様々な欠点を克服する、画期的眼底検査装置でした。

まずひとつ目の利点は、カメラになった点でした。直像鏡の場合は、眼底を観察した後で、カルテに

眼底像や血管の走行をスケッチする必要がありましたが、眼底カメラでは、カラー写真で記録される

ようになりました。(スケッチ不要で、先生が楽になりますね。)

更に、撮影画角が45度もあったので、眼底の広い範囲を、一度に観察することが可能になったのでした。

(診断精度が向上しました。)

そして、散瞳剤の点眼も不要になりましたので、患者さんのアナフィラキーショックのリスクも軽減出来、

患者さんの検査時の負担も軽減させることになったのでした。(直像鏡検査の場合は、よく見えないもの

ですから、じっと固視とか、患者さんの負担も大変だったのですよ。)

更に更に、無散瞳眼底カメラでは、赤外光照明でのTVモニターによる眼底操作であったため、ピント合わせ

が非常に難しく、フレアも出やすい状況であったにも関わらず、画期的なスプリット輝線投影方式の開発に

より、焦点合わせが非常に簡単になり、誰でも眼底撮影が可能になりました。(撮影スタッフも楽に。)

※直像鏡の時は、ピント調節円盤を、くるくる回しながら、ピントの合う位置を探しました。

このように、直像鏡検査とは比べ物にならない、画期的眼底検査機器として、無散瞳眼底カメラは、検診

市場にデビューしたのでした。

 

しかしこれ程画期的な無散瞳眼底カメラでも、検診市場に浸透して行くためには、克服すべき課題もありました。

多くの内科の先生は、当時眼底写真なんて、見たことが無かったのです。と言うことは、眼底写真は撮れても、

読影・診断が出来なかったのでした。これでは検診市場に、眼底カメラを広く普及させることは出来ません。

そこでキヤノンさんが考えたのが、内科医向けの眼底写真読影の解説書の出版でした。(3枚目写真)

「成人病の眼底検査」というタイトルで、新井宏朋先生と中島章先生の共著でした。全編大型カラー写真の

眼底症例写真集で、読影のためのコツが、細かく記載されておりました。出版元は、キヤノンさんでした。

この本の配布・活用によって、検診市場において、最初の眼底カメラの普及が、大きく促進されたと思います。

 

ちなみに、私の元の会社でも、確かキヤノンさんの代理店になった際に、「もっと勉強せよ!」ということで、

営業のご担当者から、この本を頂いた記憶があります。 そう言えばあの本、どこへ行っちゃったんだろう?

(次回へ。)